解体工事とは?
まず解体工事の基本について見ていきましょう。
建物や家屋を取り壊す工事のこと
解体工事とは「建物や家屋を取り壊し撤去する工事」
のことを言います。
建物を壊して更地にして何もない状態に戻したり
内装の変更のために建物内部を解体するなどが
解体工事にあたります。
解体工事の種類
解体工事というと、重機で建物を取り壊すという
イメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、解体工事はさまざまな種類があるのです。
①建物のみの解体
②外構のみの解体
③リフォームに伴う内装解体
上記のように、た建物全部を
取り壊すだけが解体ではありません。
ブロック塀や土間コンクリートなどの外構だけの
解体やリフォームするための
建物一部だけの解体などがあります。
また、建物の解体でも、一般的な住宅の解体から
大型のビルやマンション・工場の解体など
さまざまな種類や規模があります。
建物の構造に合わせた解体
住宅や建物は、建物ごとにその構造や
建築方法も異なります。
一般的な住宅では次のような構造があります。
①木造
②軽量鉄骨造
③鉄骨造
④RC造
解体工事は、これらの構造に合わせて
工法が必要になるため
解体方法や費用の相場も異なってくるのです。
例えば、木造住宅は解体しやすいのに対し
鉄骨造やRC造は頑丈で解体しにくくなります。
そのため、鉄骨造やRC造の解体は人員を増やす
場合や特別な工法を使用するなどが必要になり
木造よりも費用が高くなる傾向があります。
解体工事の方法や工法
解体工事と一言で言っても
重機でどんどん取り壊していくだけではありません。
解体工事にはさまざまな方法や工法があるため
解体の目的や構造などに合わせた
解体が必要になるのです。
木造建物の解体
木造建物の解体では
次のような工法を取るのが一般的です。
①手壊し工法
②機械解体工法
手壊し工法
手壊し工法とは、その名の通り
手作業で解体していく方法です。
重機を使用しないので、敷地が狭い狭小地や
搬入道路が確保できない場合でも作業可能です。
また、解体後の廃棄物の分別もしやすく、基本的に
重機での解体の前には手壊し工法が用いられます。
騒音や振動も少ないので近隣に迷惑をかけることも
少ないというメリットもあります。
しかし、手作業のみでは時間が掛かり
費用も高くなるので、解体工事の一部や
建物の一部として利用されるのが一般的です。
機械解体工法
もっとも一般的な解体工法が、機械解体工法です。
重機を使って建物を解体する方法のことを言います。
基本的には、重機での解体の前に手壊しである程度
解体分別した後に、機械解体となります。
機械解体では、騒音や振動・粉塵のために
近隣への配慮が必要でしょう。
鉄骨造やRC造・SRC造の解体
鉄骨造やRC造・SRC造の解体工法としては
次のようなものがあります。
①圧砕機工法
②カッター工法
③ブレーカー工法
④転倒工法
圧砕機工法
圧砕機をショベルの先端に取り受けて
コンクリートの破砕や鉄骨を切断する方法です。
効率よく解体できるので、コンクリート解体では
この圧砕機工法を用いられるのが一般的でしょう。
振動や騒音は少ないですが、粉塵が舞いやすいため
作業時には散水しながらの作業になります。
カッター工法
カッター工法とは、ショベルの先端に鉄骨切断用の
カッターなどの切断用アタッチメントを
取り付け切断しながら解体する方法です。
比較的振動もなく粉塵も舞いにくく、解体スピードが
速いため大型の建物でも対応できる方法です。
ブレーカー工法
ブレーカーと呼ばれるノミのようなアタッチメントを
装着したショベルで、コンクリートを砕いて
解体する工法のことをいいます。
重機が入れない場所でも
ハンドブレーカーを利用すれば作業が可能です。
ただし、この工法では、振動や騒音が大きくなり
粉塵も舞いやすいため
散水や近隣への配慮が重要になります。
転倒工法
外壁を内側に転倒させ
その衝撃を利用して解体する方法です。
周辺に飛散する解体ガラが少なく、危険な高所作業を
少なくできるというメリットがあります。
また、これ以外にも解体工事の後方には
次のようなものがあります。
①ワイヤーソーイング工法
②アブレィシブウォータージェット工法
③静的破砕剤工法
④ミニブラスティング工法
このように、解体工事と言ってもさまざまな
種類や工法があるので
適切に使い分ける必要があるのです。
解体工事前に押さえておきたい法律との関係
解体工事するうえでは法律との
関りを理解しておくことも大切です。
解体工事に関わる法律には、次の2つがあります。
①建設業法
②建設リサイクル法
建設業法
建設業法とは、建築業を営む上での
基本的な法律のことを言います。
建設工事の適切な施工や依頼主の保護など
建築工事契約を適正に保つために
制定されている法律です。
この法律では、解体工事についても
いくつかの決まりがあります。
①解体工事業の許可要件
②解体工事に関わる技術者の要件
(指定学科・実務経験・資格など)
解体工事を依頼するうえでは、このような基準を
満たしているのかを確認することも重要です。
建設リサイクル法
建設リサイクル法とは、建設工事に関する
資材のリサイクルに関する法律です。
解体工事では、コンクリートがらや木くずなど
さまざまな資材が、廃棄物として発生します。
それらの廃棄物を、適切に処理してリサイクル
できるように規定しているのがこの法律です。
この法律によって、解体工事で出た産業廃棄物は
細かく分別する義務があります。
また、対象となる解体工事では工事の依頼主は
工事着工の7日前までに
都道府県に届け出が必要になるのです。
届出を怠った場合は
罰金が科せられる場合があるので注意しましょう。
解体工事では
法律上の規定や手続きが必要になります。
また、施主にも届出の必要などの関りがあるので
ある程度理解しておくようにしましょう。
解体工事に必要な許可や資格
解体工事は
だれでも工事できるわけではありません。
解体工事業を営むためには
必要な資格や許可があるのです。
資格や許可がない業者に依頼してしまうと
違法解体として場合によっては依頼主にも
ペナルティなどの可能性もあります。
そのため、解体工事に必要な資格や許可を
理解しておくことが大切です。
建設業許可か解体工事業登録が必要
解体工事業を営むためには
次のいずれかの許可か資格が必要です。
①建設業許可
②解体工事業登録
建設業許可とは、建設業法に基づき建築工事を
営む場合に必要な許可のことを言います。
建設種類ごとに許可が分かれており、解体工事業には
解体工事業か土木工事一式・建築一式・とび
コンクリート工事業のいずれかが必要です。
解体工事業登録は、建設リサイクル法に
基づく解体工事業を営める許可のことを言います。
この許可があれば
建設業許可がなくても建築業を営めます。
しかし、500万円未満の工事に限定さてており
それ以上の工事では建設業許可が必要です。
一般的な住宅では500万円以上になることは珍しく
解体工事業登録のある解体業者が
請け負うことが多いでしょう。
建設業許可・解体工事業登録ともに、許可証や
登録証の営業所や解体現場への掲示が必要です。
これらの許可を受けていることを
確認したうえで依頼するようにしましょう。
解体工事を行うのに必要な資格
解体工事は、事業者だけでなく作業員にも
必要な資格があるものです。
工事によっては、必要な資格を持った作業者が
いないと作業できないというものもあります。
解体工事に関わる資格には
次のようなものがあります。
①施工管理技士関連
②技術士関連
③とび技能士関連
上記のような資格を持った技術者がいることで
解体工事を請け負うことが可能です。
解体工事の流れ
解体工事を依頼するには、大まかな解体工事の
流れを把握しておくことが重要です。
解体工事では、工事の依頼から完了まで
1~2か月ほど掛かります。
また、工事期間中は騒音の問題や依頼主が
しなければならないことなどもあるので
いつ・どのような工事が行われるのかを
理解することが大切なのです。
解体工事の大まかな流れは次のようになります。
①各種届出
②解体の事前準備
③外構の解体
④屋根や内装の解体
⑤基礎を含む建物本体の解体
⑥整地・清掃
⑦建物滅失登記
各種届出
解体工事前には、届出しなければなりません。
解体工事で必要な届出には
次のようなものがあります。
①建設リサイクル法の事前申請
②建設工事計画届
③アスベスト除去に関する届出
④道路使用許可申請
基本的には、解体業者が届出をしてくれます。
しかし業者や届出によっては、依頼主がしなければ
ならないものもあるので、解体業者に
相談しながら進めるようにしましょう。
解体の事前準備
解体工事の事前準備としては
次のようなことがあります。
①近隣への挨拶まわり
②ライフラインの停止・撤去手続き
③アスベストの調査
解体工事では、騒音や振動
粉塵など近隣へ迷惑が掛かるものです。
事前に、近隣へ挨拶して解体工事に
理解してもらうことが大切になります。
基本的には、解体業者が挨拶回りをしますが
依頼主も一緒に挨拶することをおすすめします。
また、解体工事前には
ライフラインの停止・撤去が必要です。
①電気、ガス、電話
②インターネット
③セキュリティサービス
契約会社に連絡し、これらの
停止手続きをしておきましょう。
また、ライフラインは停止だけでなくケーブルなどの
撤去まで必要なので、依頼時に解体に伴う
撤去も依頼することが必要です。
停止・撤去には1週間ほど掛かるので
早めに手続きをするようにしましょう。
ただし、水道に関しては解体工事で
必要なので停止してはいけません。
解体工事前までの費用の清算だけを
しておくようにしましょう。
築年数の古い住宅などでは
アスベストが使用されている場合があります。
アスベストは、解体工事で飛散することで作業員や
近隣住民への健康被害が懸念されるため
特別な処理が必要になります。
2006年以降はアスベストの使用が
禁止されていますが、それ以前の建築物では
使用されている可能性があるので
事前に調査が必要です。
調査の結果アスベストが含有している場合
追加料金が発生する
可能性があるので注意しましょう。
外構の解体
重機の搬入や足場の設置のために
まずは外構の解体が必要です。
庭木やカーポート・ブロック塀など
外周りを解体・撤去します。
外構解体後に、足場や養生を設置していきます。
屋根や内装の解体
足場と養生を設置後に解体工事が始まります。
解体工事では、まず屋根と内装を
手作業で解体していきます。
屋根材や断熱材・建具・内部造作など解体ができる
ものはすべて手作業で解体するのが一般的です。
解体工事というと重機で取り壊す
イメージがある方もいるでしょう。
しかし、実際の解体工事では重機での取り壊しの前に
手作業で解体し廃棄物を分別していくのです。
先述した通り、解体工事で出た廃棄物は細かく
分別処理することが義務付けられています。
そのため、手作業での解体が必要となり
この作業を除いて解体工事を
進める業者には注意が必要なのです。
基礎を含む建物本体の解体
手作業での解体後に、重機を使って
基礎や建物本体の解体を進めます。
この解体時が、騒音や振動が大きくなるので
一度実際に確認することをおすすめします。
どれくらいの騒音や振動なのかを確認しておくことで
後々近隣からクレームなどの
トラブル時にも対応しやすくなるでしょう。
また、基礎解体中に地中埋設物が
見つかる場合があります。
地中に埋まったコンクリートがらや井戸などが
発見されると、それらの処理が必要となり
追加料金が発生します。
地中埋設物は撤去しなければ地盤が弱くなり
次の建築の際に問題となるので
必ず撤去しておきましょう。
ただし、地面を掘り返さなければ分からないため
追加費用になることは覚悟が必要です。
整地・清掃
解体工事を終えたら、地面を平らにならし
周辺を清掃して工事完了です。
工事完了後は、依頼主立ち合いで最終確認をします。
また、工事後には近隣へのお礼と
報告するようにしましょう。
このときできるだけ工事完了後すぐに
近隣へ挨拶することが重要です。
工事後であれば、万が一近隣からクレームが入った
場合でも業者が対応してくれる可能性があります。
しかし、日数が経過してからでは対応して
もらえないので早めにあいさつするとよいでしょう。
建物滅失登記
解体工事が終わったらすべて終了ではありません。
解体工事後には、建物が無くなったことを
登記する建物滅失登記が必要です。
取り壊し証明書やマニュフェスト
(廃棄物の処理証明書)などの
必要書類を揃えて法務局に申請しましょう。
自分での申請が難しい場合は
家屋調査士へ依頼することも可能です。
また、解体業者によっては代行やサポートして
もらえる場合もあるので、相談するとよいでしょう。
このように、解体工事にもさまざま手順があり
日数も掛かるものです。
これらの流れを把握したうえで
解体工事を依頼するようにしましょう。
まとめ
今回は解体工事の種類や工法・流れ
許認可などをお伝えしました。
解体工事と言ってもただ建物を重機で取り壊す
だけではなく、さまざまな種類や工法を
適切に組み合わせ、手順を追って工事するものです。
解体工事を依頼するうえでは
違法工事にならないように業者の資格や
工事内容などを理解しておく必要があります。
この記事を参考に、解体工事の知識をつけ
解体工事をトラブルなくできるようにしましょう。
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